雲の中にいる男 2
どの会社でも大量採用の世代の直後にいるのは、さしづめ、雲際に住んでいるのも同然の「雲際族、雲際人」です。
「あいつら、会社のいい時代にさんざん楽しんで、俺たちの入った頃から会社はずっと下り坂じゃない。
経営の責任だろ。会社の言うとおり働いてきて、どうして俺らが責任を取らなきゃいけないのよ。
"退職金だ、株割り当てだ、天下りだ"・・・
みんなうまい汁吸っておいて、俺らの番になったら、出うだと。食い逃げじゃあないか」
乗客が聞き耳をたてています。
「俺、休暇取ったか。病気の時以外、1年に2、3日休んだだけじゃないか。
年休だけでもこれまで、200~300日は献上したんだ。それが1週間でもだめだと・・・」
「そんなこといっても、会社を離れてはやれませんからね」
同僚が、やっと小声で口を開きました。
「会社のためと、何もかも犠牲にしてきたよなあ」
男の言葉は寂しいものでした。